福利厚生にかかる消費税
人手不足でお困りの会社が多い中、給料ではなかなか他の会社と差別化ははかれないけれど、福利厚生の充実で差別化をはかる会社もあります。
そういった福利厚生に関する消費税の取り扱いをご説明いたします。
社宅家賃の会計処理はどうなるの?
会社が会社の名義で社宅を契約し、役員や従業員の社宅とすることがあります。
この場合、実際に居住する役員や従業員が一部賃料を負担することで、賃料分を給与課税されるリスクを回避することができます。
ちなみに、「社宅」の金額設定などについては、こちらをご覧ください。
会社が社宅の家賃を支払った際の仕訳は、
【借方】地代家賃(非課税仕入) / 【貸方】現預金
となります。
さて、会社はその社宅に居住することになる者から一部賃料を徴収するわけですから、勘定科目「地代家賃」の内の一部を負担してもらうイメージ(地代家賃との相殺)になる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、それは誤りです。
あくまで徴収している金銭はその者に社宅を貸し付けている対価として徴収しているものですから、消費税の課税の対象となります(不課税取引ではありません)但し、居住用ですので消費税の非課税売上となります。
一般的には雑収入の非課税売上として処理されます。
【借方】現預金 / 【貸方】雑収入(非課税売上)
課税売上高が5億円以下の事業者の場合、この非課税売上が「資産の譲渡等の金額」(課税売上・非課税売上の合計)に対して、5%を越える場合、課税売上が95%を下回ります。
その場合消費税算出時において、一括比例配分方式又は個別対応方式による按分計算が義務づけられています。
課税売上高が5億円超の事業者においては、必ず一括比例配分方式又は個別対応を選択しなければいけませんので、上記社宅家賃の徴収方法に誤りが生じるとそのまま誤った消費税額を算出することになりますので、注意が必要です。
従業員に対する食事の提供をした場合の会計処理は?
従業員に対して食事を提供することは、事業主の主たる事業ではなく、福利厚生的な意味合いが強いため、利益を見込まずに提供する場合がほとんどだと思います。
こうした場合であっても、対価を得て行うのであれば、消費税法上の課税資産の譲渡等に該当しますから、当然課税売上の対象となります。
【借方】現預金 / 【貸方】雑収入(課税売上)
尚、従業員から食事代を徴収するのではなく、食事代を現金支給した場合は食事手当として扱われ、支給を受けた従業員においては、給与所得にかかる収入金額に該当しますので、支払った事業者においては、課税仕入には該当しません。
まとめ
会社のため、従業員のため、良かれと思い行っている福利厚生でも会計処理を誤ると税務調査での指摘に繋がります。
正しく税務処理を理解をし、適切な処理を行いましょう。