使用人兼務役員に給与を支給する際の注意点

会社の役員でありながら、使用人としても仕事をしている方に対して給与を支給する際には、『税務上の使用人兼務役員』に該当するかどうかの判定を行ったうえで、給与を支給することが重要です。
税務上の使用人兼務役員でない役員に、使用人分として給与を支給してしまうと、法人の損金とならない可能性があります。
今回は、税務上の使用人兼務役員の判定についてご説明します。

役員報酬は毎月同額

法人税法上、法人の損金として計上するためには、役員に対して支給する役員報酬は毎月同額(定期同額給与)であることが必要となります。

使用人兼務役員であれば、使用人分として支給できる

使用人兼務役員とは、役員のうち部長、課長、その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事する者をいいます。
この使用人兼務役員に対する報酬は、役員としての職務に対する部分を役員報酬、使用人としての職務に対するも部分を給与として支給することができます。
この場合においても、役員報酬は、毎月同額である必要があります。
使用人分の給与については、毎月同額である必要がありません。

税務上の使用人兼務役員になれない人

ただし、次のような役員は、使用人兼務役員とならないため注意が必要です。
1 代表取締役、代表執行役、代表理事及び清算人
2 副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員
3 合名会社、合資会社及び合同会社の業務執行社員
4 取締役(委員会設置会社の取締役に限ります。)、会計参与及び監査役並びに監事
5 1から4までのほか、同族会社の役員のうち株式等所有割合によって判定した結果、次の(A)~(C)全ての要件を満たす役員

(A) 
その会社の株主グループをその所有割合の大きいものから順に並べた場合に、その役員が所有割合50%を超える第一順位の株主グループに属しているか、又は第一順位と第二順位の株主グループの所有割合を合計したときに初めて50%を超える場合のこれらの株主グループに属しているか、あるいは第一順位から第三順位までの株主グループの所有割合を合計したときに初めて50%を超える場合のこれらの株主グループに属していること。
(B)
その役員の属する株主グループの所有割合が10%を超えていること。
(C)
その役員(その配偶者及びこれらの者の所有割合が50%を超える場合における他の会社を含みます。)の所有割合が5%を超えていること。

代表者は使用人兼務役員になれない

株式会社の代表取締役など、代表権のある役員については、株式所有割合等により判定する以前に、使用人兼務役員にはなれません。

合同会社の役員は使用人兼務役員になれない

合同会社の場合、代表社員以外の役員は業務執行役員となります。
この業務執行役員は、株式所有割合等により判定する以前に、使用人兼務役員にはなれません。

委員会設置会社の取締役は使用人兼務役員になれない

委員会設置会社である株式会社の取締役は、株式所有割合等により判定する以前に、使用人兼務役員にはなれません。
委員会設置会社とは、指名委員会、監査委員会及び報酬委員会という3つの委員会を置く株式会社の事をいいます。
会社設立時には、委員会設置会社とするかどうかはを決める必要があります。

まとめ

税務上の使用人兼務役員になれない方に対して、毎月異なる金額の給与を支給してしまうと、定期同額給与に該当せず、損金算入ができなくなる恐れがあります。
役員や使用人兼務役員に対して給与を支給する際には、十分に注意をして支給するようにしましょう。

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