法人の代表者が婚姻したとき

 国内における法人設立の件数は連年12万件を超え、近年では女性が代表者として会社を設立することも珍しいことではなくなりました。
 女性の代表者が婚姻した場合には姓の変更を伴うことが多いですが、男性の代表者においても婿養子に入った場合、離婚や養子縁組等、様々な理由から代表者の「姓の変更」が生じる場合があります。

 今回は、法人の代表者が婚姻した場合に法人として主にどのような手続きが必要になるかご説明いたします。

登記の変更

 自社の所在地を管轄する法務局で役員変更の登記を行います。原則として変更の事由が発生してから「2週間以内」に行うこととなっており、登録の際に支払う登録免許税は1万円または3万円となっています。

 また、平成27年5月1日に施行された改正会社法により、婚姻によって氏を変更した役員等は、戸籍上の氏名と併記して婚姻前の氏を併記することを申し出ることができるようになりました。
例えば次のように登記簿に表示されます。
※会計花子(旧氏名)が婚姻により、税務花子(戸籍上の氏)に変わった場合
  取締役 税務花子(会計花子)

 このような手続きが認められている理由は、婚姻前の氏で取引を行ったとしてもその人物を特定する意味で安全が確保され、業務執行の円滑化につながると考えられているからです。

税務署等への変更届出

 法務局で変更登記が完了後に法人の謄本を取得し、税務署、県税事務所、市役所に代表者氏名の異動届を提出します。こちらの提出期限は、「異動後速やかに」となっていますので、登記した後速やかに提出しましょう。

銀行口座名の変更

 銀行口座名に代表者の氏名が入っている場合には、変更の届出が必要になります。変更後の法人の謄本が必要になりますので準備していきましょう。
  ① 株式会社 節税商事
  ② 株式会社 節税商事 代表取締役 会計花子
※①の場合であれば変更の必要はありませんが、②の場合は変更が必要ですので、注意が必要です。

社会保険関係の変更

 年金事務所の変更手続きも必要になります。
 社会保険労務士に依頼することもできますが、日頃から自社で社会保険手続きされている場合は、社会保険事務所のホームページから申請書類をダウンロードして手続きを行うことができます。

代表者が小規模企業共済の加入者の場合

 小規模企業共済に加入している場合は変更手続きを行う必要があります。必要事項を記入した変更申請書と戸籍謄本を郵送して手続きが完了します。

リンク先→ 小規模企業共済機構 

保険契約の変更

 法人契約、個人契約ともに住所、改姓があった場合には各保険会社へ連絡し変更の手続きを取るようにしましょう。

まとめ

 主として必要な手続きをご説明いたしましたが、法人の業種業態によって他の手続きが必要となる場合もありますので、「姓の変更」があった場合には、まずは税理士への相談をお勧めいたします。

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