所得税法における借地権設定時の譲渡所得の計算

借地権の設定とは?

借地権の設定とは、土地の所有者が他の者に対してその土地の使用収益することを許諾することをいい、一般的には、土地の賃貸借契約の締結によってその設定が行われます。
借地権が設定されると、借地権者はその土地の使用収益権を手に入れ、土地所有者は、地代の収受権を手にすることとなります。
よって借地権設定時に収受される権利金は、その土地の使用収益権に対する対価といえます。

借地権設定時の所得区分

土地の上に借地権を設定する際に権利金が授受される場合、これは不動産の貸付けによる所得と考えられます。しかし、借地権の設定期間が長期にわたり、かつ権利金の額があまりに多額となる場合は、実質的には不動産の譲渡と同様の結果をもたらすと考えられます。そこで所得税法では、一定の要件に該当する場合には、上記のような権利金の授受は譲渡所得とみなすこととされています(所得税法施行令79 条)。
具体的には、借地権の設定に際して借地人から土地所有者に対して支払われる権利金、協力金、礼金等であって、その名称を問わず、借地契約終了時に返還を要しない金銭、経済的価値を有する財産の供与(経済的利益)に対する取扱いは、土地の時価との関係で以下のとおり異なってきます。

権利金等の額が時価の1/2を超える場合

個人地主の場合、所得税法で「借地権の設定により受ける権利金等の額が、その土地の
借地権設定直前の価額(時価)の2分の1相当額を超えるときは、その権利金の額は譲渡所得の収入金額とすることが規定されています。
●譲渡所得の計算
                        権利金の額
 譲渡収入 - 土地の取得費×——————————————— - 譲渡費用=譲渡所得
                   権利金の額+底地価格(注)
 (注)底地価格が明らかでない場合には、その土地の地代の年額の20倍に相当する
    金額(所令174①)

権利金等の額が時価の1/2以下の場合

個人地主の場合、所得税法で「借地権の設定により受ける権利金等の額が、その土地の
借地権設定直前の価額(時価)の2分の1相当額以下であるときは、不動産所得の収入金額とすることが規定されています。
この場合において要件を満たせば、累進課税が緩和される臨時所得課税を選択することが出来ます。

具体例

まとめ

借地権については、上記の他にも色々なパターンがあるので、借地権係る経済的行為が行われた場合には、是非、専門家にご相談下さい。

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