退職後の社会保険 健康保険の任意継続制度について解説

会社を退職した後の社会保険はどうなるのか?

勤めていた会社を退職した場合、これまで会社で加入していた社会保険はどうなるのでしょうか?
退職した後に、すぐに再就職する場合は、新しい勤務先で社会保険に加入するため特別な手続きの必要はありません。
それに対して、退職して個人事業主として事業を行う場合や、無職になる場合は、自分で社会保険の手続きを行う必要があります。

健康保険の3つの手続き

社会保険のうち健康保険については、以下の3つのどれかに加入することになります。

健康保険の任意継続

退職や労働時間の短縮等によって健康保険(全国健康保険協会管掌健康保険)の被保険者の資格を喪失したときに、一定条件のもとに個人の希望(意思)により、個人で継続して加入できる制度です。

国民健康保険に加入

国民健康保険に加入して、ご自分で国民健康保険料を支払うようになります。
手続きは、お住まいの市区町村の国民健康保険担当窓口で行います。

家族の健康保険の扶養になる

ご家族か加入する健康保険の扶養要件を満たす場合は、扶養に入ることができます。
家族が加入する健康保険組合で手続きを行います。

年金制度は国民年金に加入

社会保険のうち年金については、健康保険のように「任意継続」というものはありません。
そのため、会社を退職後は国民年金保険に加入することになります。
厚生年金も任意継続ができると勘違いしてしまうことが多いため、ご注意ください。

健康保険の任意継続の保険料

任意継続の保険料の仕組み

任意継続の保険料は、
・退職時の標準報酬月額に基づいて決定され、保険料は原則2年間変わりません。
・扶養家族の方の保険料はかかりません。

保険料には上限あり

退職時の標準報酬月額にお住まいの都道府県の保険料率を乗じた額が保険料となります。ただし、保険料の上限があり、標準報酬月額が28万円を超える場合は28万円の標準報酬月額により計算した保険料になります。

保険料は全額自己負担

会社に勤務している時の保険料は会社と本人で保険料を半分ずつ負担することとなっていました。
しかし、任意継続の場合は、本人が全額負担することとなります。
なお、保険料は原則2年間変わりません。

【重要】任意継続をする場合の要件

① 資格喪失日の前日までに「継続して2ヶ月以上の被保険者期間」があること。
資格喪失日から「20日以内」に申請すること。(20日目が営業日でない場合は翌営業日まで)
任意継続を行うためには、退職後20日以内に申請を行うことが必要になります。
退職後バタバタしている間に気付いた時には20日が過ぎていたとならないように注意が必要です。
具体的には、「任意継続被保険者資格取得申出書」を、お住まいの住所地を管轄する協会けんぽ支部に退職日の翌日から20日以内に提出することになります。

確定申告を忘れずに!

納付した社会保険料は全額が社会保険料控除の対象になります。
確定申告を行う際には、控除することを忘れないようにしましょう。

まとめ

退職後は社会保険の加入手続きを忘れないようにご注意ください。
繰り返しになりますが、任意継続は退職後20日以内の期限を過ぎると適用ができなくなってしまいます。
個人事業主として開業する際には、開業届など税金関係の手続きだけではなく、社会保険の手続きも早めに行っておくようにしましょう。
「国民健康保険」と「任意継続」のどちらの保険料が安くなるかの計算は、退職前の収入金額や開業後の収入によって変わることになります。
手続きを行う際には、しっかり検討を行うことが必要です。

【無料相談受付中】目黒・渋谷の若手税理士 岩崎・長野会計事務所