平成30年税制改正大綱 中小企業・経営者が最低限押さえておきたいところだけ!

平成30年税制改正大綱が決定されました

平成30年の税制改正大綱が決定されました。
今回は、中業企業とその経営者に関係する可能性がある部分だけを簡単にお伝えします。

個人所得税課税の見直し <H31年分~>

年収850万円超の会社員などは増税、フリーや請負で働く人などは減税になります。
〇基礎控除を10万円引き上げ、38万円⇒48万円とする
※所得が2,400万円を超えると段階的に引き下げられ、2,500万円超で基礎控除ゼロ。
〇給与所得控除を10万円縮小する。(基礎控除に振替)
※年収850万円超の人は控除の上限を195万円で頭打ち
※22歳以下の子供や介護が必要な家族などがいる場合を除く
〇公的年金控除を10万円引き下げ(年金以外の所得が1,000万円を超える場合さらに制限あり)
〇青色申告特別控除が65万円⇒55万円となるが、電子申告をした場合は従来どおり65万円

賃上げ・設備投資の拡充等で法人税減税

賃上げ等を行った法人の法人税が減税されます。
中小企業は前年度に比べ1.5%以上の賃上げ ⇒ 給与総額が増えた分の15%相当の控除
加えて、教育訓練費の額の前期教育訓練費の額に対する増加割合が10%以上である時などは、
給与総額が増えた分の25%相当の控除。

中小企業の設備投資を促す<H32年度までの3年間>

新規導入した設備の固定資産税の負担が軽減されます。
市町村の裁量で1.4%⇒0.7%~ゼロ%まで減税

事業継承を促進<H30年4月1日以降に開始する事業年度~>

10年間の期間限定で、一定の非上場株式に係る相続税が全額猶予されます。
猶予の対象は筆頭主に加え3名まで、税額の算出方法は廃業時の評価額、雇用要件を緩和します。

相続税の課税逃れ防止 <H30年4月~>

相続税において以下の改正が行われます。
〇一般社団法人 現行:相続税免除⇒改正後:役員に占める親族割合が1/2よりも多い場合等に課税
〇小規模宅地等の特例  持ち家に居住していない者で、相続時に住んでいる家を以前に所有、または相続開始3年以内に親族等が所有する家に住んでいる場合は対象外
〇貸付事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等を除外する

たばこ税の引き上げ <H30年10月~>

紙巻きたばこは4年で1本あたり3円増税されます。
加熱式たばこは5年かけて紙巻きたばこの7~9割の税額になるように増税になります。

国際観光旅客税を創設 <H31年1月~>

訪日外国人客が日本から帰国する際と、日本人が旅行や出張で出国する際に、一人当たり1,000円が徴収されます。

森林環境税を創設 <H36年4月~>

森林保全を目的とし、地方住民税に上乗せして1人年1,000円が徴収されます。

電子申告義務化 <H32年4月1日以降に開始する事業年度~>

資本金1億円以上の大企業に、法人税・法人地方税・消費税の電子申告が義務付けられます。

年末調整を電子化 <H32年1月~>

会社員は保険会社などから控除証明書をデータで受け取り、企業に提出。企業は受け取ったデータをネット上で確認して税務署に提出するこになります。
対象は、生命保険料控除・地震保険料控除・住宅ローン控除です。

特定支出控除(会社員必要経費の控除)の対象拡充 <H31年1月~>

出張費を経費として認め、単身赴任者の帰宅旅費の制限がなくなります。

ネット通販外貨課税 <H31年1月~>

ネット通販関係の税金に変更があります。
〇現行 国内に支店や工場などの拠点を持たない外資には法人税をかけない
〇改正後 大型の配送用倉庫などを持つ外資のインターネット通販企業などに一定の税負担を求める

まとめ

個人所得税課税の改正については、とてもややこしくなってしまったなという印象です。
より重要な税制改正については、今後もっと詳しく個別にご紹介していきたいと思います。