報酬・料金等の源泉徴収義務

居住者に対して報酬・料金等を支払う場合

居住者に対して、国内において「源泉徴収の対象となる報酬・料金等」の支払いをする者は、その報酬・料金等を支払う際に所得税等を源泉徴収し、原則として、徴収した月の翌月の10日までに納税する必要があります。

①法人の場合
法人の場合には、自動的に源泉徴収義務者となります。

②個人事業主の場合
次のいずれかに該当する個人事業主は、源泉徴収義務者にはなりません。
・その個人事業主が給与等の支払者でない場合
・その個人事業主が給与等の支払者であっても常時2人以下の家事使用人のみに対する給与の支払者である場合

要するに個人事業主の場合、
従業員や青色専従者に給与を支払っている個人事業主は源泉徴収義務者になります。
この場合には、従業員や青色専従者に支払う給与はもちろん、外注で「源泉徴収の対象となる報酬・料金」を支払う場合にも源泉徴収が必要になります。

逆を言えば、源泉徴収義務者に該当しない個人事業主は、「源泉徴収が必要な報酬・料金等」を支払う場合でも、源泉徴収する必要は無いということになります。
※ただし、ホステス等への報酬・料金については源泉徴収が必要です。

源泉徴収の対象となる報酬・料金

源泉徴収しなければならない報酬・料金は、下記のとおり所得税法204条に限定列挙されています。
1.原稿料や講演料など
2.弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
3.社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
4.プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
5.芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
6.ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
7.プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
8.広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
これは限定列挙ですので、これら8項目に該当しなければ源泉徴収は必要ないということになります。
しかし、実務上では、どの支払いが上記に該当し、あるいはしないのかという判断は、なかなか難しいところがあります。
例えば、個人のカメラマンに撮影料を支払う場合にどうしますか?
その個人からの請求書に徴収すべき源泉所得税が明記されていれば、問題はないのですが、上記8項目に該当するにもかかわらず、源泉所得税の記載がない請求書が相手方から送られてきた場合であっても、「源泉徴収義務」は支払う側にあるので、請求書通りの金額を支払っても、「源泉徴収漏れ」の指摘を受けてしまいます。
個人に対して支払いをする場合には、是非顧問税理士に相談をしてください。

まとめ

源泉所得税については、税務調査時においてしっかり検討される項目ですので、源泉徴収漏れの指摘を受けることのないように「要否判定」に注意をするようにして下さい。

【無料相談受付中】目黒・渋谷の若手税理士 岩崎・長野会計事務所