要確認!所得拡大促進税制の改正点

所得拡大促進税制の改正がありました。

*所得拡大促進税制についての概要は
・「所得拡大促進税制を利用しよう」
・「1期目に雇用者給与等を支給していないと適用できないの?」

をご参照ください。

今回、改正となった所得拡大税制の対象は下記の事業年度のものです。

法人:平成30.4.1~H33.3.31までに開始される事業年度
個人事業主:平成31年分~

それでは早速改正点を確認してみましょう!

どこが改正されたの?

今回の改正は大きく分けて4点です。

1.「適用要件」基準年度(平成24年度)の給与総額と比べて適用年度において一定割合増加していることが廃止になった
2.継続雇用者の定義が変更になった
3.税額控除の額が変更になった
4.新しい要件が追加された

1.「適用要件」の改正について

現行の適用要件は3つです。

1)基準年度の給与総額と比べて、適用年度において一定割合増加していること
2)雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額以上であること
3)平均給与等支給額が前事業年度給与を超えること

上記の要件のうち、1)が廃止となり3)の要件が
「継続雇用者給与等支給額が前事業年度より1.5%以上増加」に変更されました。

改正前は設立1年目の会社は従業員がいれば
所得拡大税制の適用を受けることができましたが
要件改正により「前事業年度」が存在しない新設法人は
所得拡大税制の対象外となりました。

2.継続雇用者の定義が変更になった

以前は、前年・適用年度に一度でも支給がある雇用保険の対象者は
「継続雇用者」にカウントされていましたが今回の継続雇用者の定義変更により、簡素化されました。

改正後の継続雇用者の定義は下記の3要件を満たす方になります。
*前事業年度の期首~適用年度の期末

1)すべての月に給与等の支払いを受けた国内雇用者。
2)すべての期間において雇用保険の一般被保険者。
3)すべてもしくは一部期間に継続雇用制度の対象となっていない方。

*継続雇用制度・・・再雇用制度と勤務延長制度がある。
年金支給開始引き上げに伴い「高齢者雇用安定法」で定められ高年齢者が老齢厚生年金の報酬比例部分を
受給できるまで、継続的に雇用ができるよう経過措置が取られている制度。

H28.3.31まで→61歳以上の人
H31.3.31まで→62歳以上の人
H34.3.31まで→63歳以上の人
H37.3.31まで→64歳以上の人

「2年間すべての月に給与等の支払いがある雇用保険の一般被保険者」となったことで
計算対象者が少なくなり、簡素化されました。

「雇用保険の被保険者」とは、雇用保険の加入義務があるすべての人になるので
実際に加入しているかどうかの是非は問いません。

税額控除額の変更・新しい適用要件

税額控除は「通常の税額控除」と「上乗せ」の2種類があります。
いずれも税額控除限度額は法人税額の20%ですが
改正前は10%~22%だったのが改正後は15%~25%となりました。
●通常の税額控除
通常の税額控除の要件は
・継続雇用者給与等支給額が前年度比で1.5%以上増加
していることです。
*今回新しい適用要件として追加されました。

上記の要件を満たすと
給与総額の前年度からの増加額の15%を税額控除できます。

●税額楮の上乗せ
上乗せ要件:継続雇用者者給与等支給額が前年度比で2.5%以上増加し、
かつ一定の要件を満たす場合。
上記要件を満たす炉給与総額の前事業年度からの増加額の25%を税額控除できます。
*一定の要件・・・以下のいずれかを満たす場合。
1)教育訓練費が前年度比で10%以上増加していること
2)中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定を受けており、
  経営力向上が確実に行われていること

まとめ

今回の改正点をまとめると適用要件は下記の1つになります。

雇用者給与等支給額が前年度比で1.5%以上増加していること

上記の要件を満たした場合には、給与等支給総額(役員等を除く) の15%を
税額控除することができます。
*「給与等支給総額」は継続雇用者以外の単発のアルバイトの方なども含めます。

所得拡大促進税制は対象となる会社も非常に多いので
決算時にはもれなく確認しましょう。

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