確定申告の注意点 個人事業主が経費にできる範囲

確定申告の注意点 個人事業主が経費にできる範囲

個人事業主の経費はどこまで認められるのか?
毎年、確定申告の際には、多くの個人事業主が頭を悩ませていると思います。
今回は、個人事業主の経費の考え方を、基礎からご紹介します。

経費になるかどうかの判断基準

個人事業主の確定申告における経費の考え方として、まず大前提となるのが、支払った費用が「事業に関わるものかどうか」です。
これが、経費計上の基本的な考え方となります。
これは「事業に少しでも関わるものであれば経費にできる」とも言い替えることができそうですよね。
しかし、安易に考えてはいけません。
所得税法では37条1項に必要経費について規定されていますが、具体的な判断基準は定められていません。事業に“どの程度関わるものであれば経費として計上して良いのか”をめぐり、裁判が行われたこともあります。
国税庁のHPによると、事業に“直接”関わりがあるかどうかということが問われると書いてあります。さらに、関係者(納税者)が主観的に判断するのではなく、客観的にみた際に直接関係があるかどうか、が要点となっています。
つまり「客観的に見て事業に直接関係がある」ことが必要になります。
確定申告の際には、経費として計上する前に一度、客観的にみて事業に直接関連があるかどうかを考えてみることが大切です。

領収書ではなく、レシートでもOK

経費にするためには領収書をもらわなければいけない!と考える方も多いかと思いますが必ずしも領収書をもらう必要はありません。レシートでも問題ありません。
むしろ、事業に関わるものかどうかを判断するには、明細が載っているレシートの方が良いこともあります。
領収書かレシートをしっかり保管しておきましょう。

こんなものも経費にできる!

次に自宅家賃など「プライベートでも使っているから経費にできるなんて知らなかった!」となりがちなもの4つの費用についてご紹介します。
これらの経費を考える時は、「客観的に見て事業に直接関係があるもの」という考え方を参考にしてください。

自宅家賃

事業用に自宅を使っている場合は、その事業に使っている面積に応じて自宅家賃も経費とすることができます。このように、プライベート兼事業用となっているものを使用している割合によって経費計上することを「家事按分」といいます。
家事按分を使い、費用計上する際に注意すべきことは、事業部分と家事費と言われるプライベート部分を明確に区分することができるかどうかです。
この点は、後ほどご説明する「経費にできないもの」にも関わってきますが、自宅で仕事をされている方の中でも、仕事部屋として仕事をする際にしか使わない部屋があるとすれば、その使仕事部屋の面積が全体の何%にあたるかを計算すれば良いのです。
仕事部屋がはっきりと分かれていない方の場合は、何%を経費として計上できるかどうかの判断はとても難しいところです。
実際に、家事按分については多くの裁判事例があります。

携帯代・インターネット代

これは多くの個人事業主が駆使されているものかと思いますが、私用の携帯として使っ
ていたものを仕事でも使うことになった場合、経費にできます。
インターネット代金、Wi-Fi、サーバ料金なども同様です。

交通費

仕事でバスに乗った際には経費にできます。SuicaやPASMOへのチャージ料金も同様
です。また、自動車を仕事で使っている際にはガソリン代や維持費も経費として計上できます。

食事代

人脈づくりや取引先の方とのパーティーに参加した費用、レストランで食事をした費用も経費にできます。食事代は、交際費や会議費などの科目で経費にできます。

経費にはできないもの

次に、間違いやすい経費にできないものについてご紹介いたします。
これらは経費にすることが難しいため、注意するようにしてください。

スーツ代

スーツは金額も高価なものが多く、経費になってほしい!と考えられる方も多いかと思いま
す。確かに、「事業に少しでも関わるものであれば経費にできる」という大前提はクリアしていますので、経費になりそうな気もしますよね。
ここで、経費計上のもう一つ大事なポイントは「普段も使うことがあるかどうか」ということです。スーツなどの衣服は特に、「普段も着ることがある」という理由で経費としては認められにくいのが現状です

スポーツクラブの会費

会社の役員の方は、経費にできることも多いスポーツクラブの会費ですが、個人事業主の場合には「福利厚生という概念がない」ため、経費計上できません。

健康診断・人間ドッグの費用

こちらも上記同様、福利厚生という概念がないため、プライベートな支出とみなされます。

まとめ

経費計上できるもの、できないものをご紹介してきましたが、大事なポイントは2つです。
1.事業に直接、関わるものかどうか(客観的にみて)
2.プライベートで使うものと明確に区分できるかどうか
確定申告の際には、以上の点を意識して経費になるかどうかの判断を行うようにすると良いでしょう。

【無料相談受付中】目黒・渋谷の若手税理士 岩崎・長野会計事務所