未登記不動産にかかる手続き
相続税の申告に携わらせていただくと、未登記のまま先代・先々代から引き継いでいる不動産に関わることがあります。
不動産の登記は本来「登記することが義務」となっています。
(正確には登記簿謄本に記載されている「表題部」とある部分の登記が義務です)
不動産登記法第47条で「所有権を取得した者はその所有権取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない」と規定されています。
しかし、登記をしていなくても固定資産税は課税されますし、実質問題となるケースがないのでそのままとなっていることが多いようです。
しかし、未登記不動産が多いことが近年問題となり、時限措置ではありますが現在下記のような措置がとられています。
土地にかかる登録免許税の免除
2018年4月1日から3年間、次の要件を満たす相続登記に通常かかる登録免許税が免除
☐適用要件
① 土地であること(建物は対象外)
② 登記の名義人から相続した相続人についてさらに相続が発生したこと
③ 平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に登記の申請をすること
所有し続けるにしても、処分を検討するにしても、未登記の土地を所有されている場合はこの機会に登記されることをお勧めします。
建物について
建物については残念ながら、土地のような措置はありません。
しかし、将来売却をしたり取り壊しをする際に登記をしていないとスムーズに売却手続き等が進まないこともありますので、土地とあわせ手続きをしてしまうのが良いでしょう。
取り壊す場合の手続き
建物を取り壊す際、その権限は所有者にあります。
未登記の建物の場合は、所有者が誰であるかを明確にする必要があります。
先々代名義となっている土地であれば、先々代・先代の相続の際に遺産分割協議がなされていれば、その遺産分割協議どおりに所有者が決定します。
遺産分割協議がなされていない場合は、他の相続人が建物を取り壊すことを了承するか、遺産分割協議を整える必要があります。
一般的に解体業者は依頼者に対し、所有者が誰であるかの確認を行います。
もし、登記をしていない場合は遺産分割協議書などで確認を行う場合もあるようです。
取り壊し後の手続き
建物を取り壊した後には滅失登記が必要となります。この登記は、例えば登記名義が先々代名義のままとなっていても可能です。但し、滅失登記の際に戸籍等を添付して申請人が名義人の相続人であることを証明すること必要があります。
まとめ
不動産登記に限らず、様々な法律行為(贈与、遺言書の作成、養子縁組等々)は健康状態によっては、裁判所に無効と判断されてしまう場合があります。
「いつでもできる」と思わずに、未登記不動産がある場合は手続きを終えておくのが良いでしょう。