法人税の寄附金控除について解説
個人が国や地方公共団体、社会福祉法人、一定の認定NPO法人など特定の
団体に寄附した場合、「確定申告」を行うことで所得税が還付される場合が
あります。法人が支払った寄附金についても損金算入ができます。
法人税上の寄附金
法人が行なった金銭その他の資産の贈与または経済的利益の『無償の供与』の
ことをいいます。この支出が寄附金控除の以外の名目であったとしてもこの定
義に該当するものは寄付金として取り扱われます。
広告宣伝費等や被災者に対する一定の義援金等については、寄附金から除かれ
ます。
寄附金の種類
法人税法上の寄附金は次の4種類です。
国又は地方公共団体への寄附金
都道府県、市区町村に対して寄附するものです。災害時に被災者のために新聞社
・放送局等が募集する義援金はこれに該当する場合があります。
財務大臣指定の寄付金
公益事業を行う法人・団体に対する寄附金のうち、「広く一般に募集されること」
と、「教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄
与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること」の2つの
要件を満たすと認められるものとして財務大臣が指定したもので、赤い羽根の共同募
金などがこれに該当します。
特定寄附金
特定公益増進法人や認定NPO法人等への寄附金。
公共法人、公益法人等のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献
その他公益の増進に著しく寄与するものとして定められている法人に対する寄附金で、
日本私学振興財団や日本赤十字社などが該当します。
一般の寄附金
上記以外の寄附金。
債権放棄や無利子による貸付行為、神社のお祭りの寄進など、一般的にほとんどの
寄附金が該当します。
損金算入限度額
法人の寄附金には損金算入限度額という制度があります。
法人が歯止めなく寄附をして法人税を軽減したり、費用計上できず法人税の
負担が重くなることがないよう、損金算入限度額が設けられています。
(1) 国又は地方公共団体への寄附金⇒全額損金算入できる
(2) 財務大臣指定の寄附金 ⇒全額損金算入できる
(3) 特定寄附金
損金算入限度額=資本金の金額×当期の月数/12×3.75/1,000
+当該事業年度の所得金額×6.25/100×1/2
『損金算入限度額』と『特定寄附金の総額』のうちいずれか少ない金額
が損金として計上できる
(4) 一般の寄附金
損金算入限度額=(資本基準額+所得基準額)×1/4
資本基準額=期末における資本金金額×当期の月数/12×2.5/1,000
所得基準額=当該事業年度の所得金額×2.5/100
法人税申告の際、『寄附金の損金算入に関する明細書』は別表十四
になります。
※参考資料(国税庁HPより)
http://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/tebiki2002/02/14.htm
注意点
寄付金を損金算入するには、実際に支払いをしていなくてはなりません。
一般的な費用は未払計上することで損金算入されますが、寄付金については、
未払計上しても損金算入が認められません。
まとめ
寄付金の種類とその損金算入限度額を把握し、法人税の節税対策のひとつと
して活用してみて下さい。