印紙税

 領収書をもらった時や契約書を受け取った時に、収入印紙が貼られている場合があります。大半の領収書に収入印紙は貼られていないと思いますが、なぜ収入印紙を貼る場合があるのでしょうか?

 収入印紙は印紙税がかかる領収書や契約書等に課税される税金を納付するために、財務省が発行する証票です。契約書等に収入印紙を添付し、消印をすることで納税したことになります。
 今回は知っているようで意外と知らない印紙税について解説します。

印紙税とは

 印紙税とは、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、印紙税額一覧表に掲げられている20種類の文書が課税の対象となります。

 なぜ課税されるかというと、「印紙税は、経済取引に伴い作成される文書の背後には経済的利益があると推定されること及び文書を作成することによって取引事実が明確化し法律関係が安定化することに着目して広範な文書に軽度の負担を求める文書課税である。」(平成17年第162国会櫻井参議院議員の質問に対する小泉総理の答弁書)からです。

 分かりやすく言うならば、契約書などを作成することにより取引に信用が生まれます。その信用は国の法律により支えられているので、税金を納めてくださいね、ということです。

 納付する別記印紙税の額は、内容にかかわらず定額のものや、契約書の内容や契約金額等によって異なるものもあるため、正しい理解が必要です。

課税される文書

 印紙税が課税される文書は、印紙税法別表第一の課税物件表に掲げられている20種類の文書のうち、非課税文書に該当しない文書となります。

代表的なものは下記のとおりです。
・領収書(5万円以上)
・手形
・不動産の譲渡に関する契約書
・業務委託に関する契約書(契約期間3か月以上)
・定款

また、詳細は下記のとおりです。

■課税文書(印紙税別表第一 1号~20号)
1.不動産等の譲渡、地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡、消費貸借、運送に関する契約書
2.請負に関する契約書
3.約束手形又は為替手形
4.株券、出資証券若しくは社債券又は投資信託、貸付信託若しくは特定目的信託の受益証券
5.合併契約書又は吸収分割契約書若しくは新設分割計画書
6.定款
7.継続的取引の基本となる契約書
8.預貯金証書
9.貨物引換証、倉庫証券又は船荷証券
10.保険証券
11.信用状
12.信託行為に関する契約書
13.債務の保証に関する契約書
14.金銭又は有価証券の寄託に関する契約書
15.債権譲渡又は債務引受けに関する契約書
16.配当金領収証又は配当金振込通知書
17.金銭又は有価証券の受取書
18.預貯金通帳、信託行為に関する通帳、銀行若しくは無尽会社の作成する掛金通帳、生命保険会社の作成する保険料通帳又は生命共済の掛金通帳
19.第1号、第2号、第14号又は第17号文書により証されるべき事項を付け込んで証明する目的をもって作成する通帳
20.判取帳

■非課税文書
課税物件表に掲げられている文書のうち、次のいずれかに該当する文書。
・課税物件表の非課税物件欄に規定する文書
・国、地方公共団体又は印紙税法別表第二に掲げる者が作成した文書
・印紙税法別表第三の上欄に掲げる文書で、同表の下欄に掲げる者が作成した文書
・特別の法律により非課税とされる文書

印紙税額

 印紙税額は、印紙税額一覧表に記載されています。
 20種類の文書それぞれに税額が異なり、税法改正により税額が変更になることもあるため、確認が必要です。

参照:国税庁HP 印紙税額一覧表
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/inshi/pdf/zeigaku_ichiran.pdf

印紙を貼らなかった場合

 印紙税を納付することとなる課税文書の作成者が、納付すべき印紙税を課税文書の作成の時までに納付しなかった場合、その納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額=当初に納付すべき印紙税額の3倍に相当する過怠税が徴収されることになります。

 ただし、調査を受ける前に、自主的に不納付を申し出たときは1.1倍に軽減されます。

 また、貼り付けた印紙を消印しなかった場合には、消印されていない印紙の額面に相当する金額の過怠税が徴収されます、

電子契約

 今までは書面の文書について解説してきましたが、近年はメールでの契約・クラウド上での契約も多くなっています。電子契約にすると印紙を貼る必要がなくなります。

 なぜ電子契約にすると印紙を貼る必要がないのかというと、印紙税法第2条で課税文書は書面の文書だけを指しているため、電子文書は含まれないと解釈する考え方が一般的だからです。国税庁HPでも、「電子的記録であれば現物を交付したとは言えず、課税文書を作成したことにはならないので印紙税の課税原因は発生しない」と書かれています。
参照:
https://www.nta.go.jp/about/organization/fukuoka/bunshokaito/inshi_sonota/081024/01.htm

まとめ

 契約書を書面で交付することが一般的かもしれません。その場合は印紙税額を確認し、課税文書である場合には必ず印紙を貼って消印をしてください。
 また、印紙を貼る必要のない電子契約は、課税文書の多い場合には印紙税の納付がなくなり手間も省けます。ぜひ電子契約を検討してみてはいかがでしょうか?

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