確定申告の期限について解説(不動産を売った場合)

個人で所有している不動産を売却した場合には、譲渡所得として確定申告を行う必要があります。
譲渡所得の確定申告を行う場合の申告期限についてご説明します。

譲渡所得の申告期限

不動産を売却した場合の譲渡所得の申告期限は、資産を譲渡した日の属する年の翌年3月15日となります。
申告が可能な期間は、2月16日から3月15日の間となります。
ただし、マイホームの譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例の適用を受けることなどにより所得税の還付申告となる場合は、2月15日以前であっても申告することは可能です。

「譲渡した日」とは?

資産を譲渡した日」は、原則としては、売買などの譲渡契約に基づいて資産を買主など『引き渡した日』となります。
ただし、売買契約の効力発生日、一般的には『契約締結の日』を「資産を譲渡した日」とすることも可能です。

「契約締結の日」と「引き渡した日」で年をまたぐ場合

実務上、「契約締結の日」から「引き渡した日」までの間に年をまたぐ場合があります。
この場合、どちらを「譲渡した日」とするかにより、確定申告の期限が異なることとなります。
例えば、
・2019年12月:不動産売買契約の締結
・2020年1月:資産の引渡し
の場合、

■「契約の締結日」=「譲渡した日」とする場合
譲渡した日は、2019年12月となり、確定申告期限は2020年3月15日となります。
■「引き渡した日」=「譲渡した日」とする場合
譲渡した日は、2020年1月となり、確定申告期限は2021年3月15日となります。

資金繰りに注意!

いつを「譲渡した日」と考えて確定申告を行うかによって、資金繰りにも大きく影響します。
例えば、
・2019年12月:不動産売買契約の締結
・2020年4月:資産の引渡し
といった例においては、

2020年4月の資産の引渡し時まで、売買代金の全額が入金されないケースがあります。
この時に、「契約締結の日」を「譲渡した日」としてしまうと、2020年3月15日までに納税を行うことが必要となり、入金より先に納税が発生してしまうことになります。
売却から納税までの資金繰りをしっかり考慮して、「譲渡した日」の判断を行うことが大切です。

注意点① 短期譲渡所得と長期譲渡所得の判定

不動産の譲渡所得は、取得から売却までの所有期間により、短期譲渡所得と長期譲渡所得に区分されます。
短期譲渡所得は、長期譲渡所得に比べて、高い税率で課税されることとなります。
所有期間の判定は、
「譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下」=「短期譲渡所得」
「譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超える」=「長期譲渡所得」
となります。

そのため、「譲渡した日」の考え方により、短期譲渡所得と長期譲渡所得の区分が異なる可能性があります。
低い税率を適用するために長期譲渡所得とするためには、所有期間が5年を超えるように「譲渡した日」を判定することが必要となります。

注意点② 税制改正のリスク

所得税法に限らず、日本では毎年税制改正が行われています。
「譲渡した日」を「契約締結の日」とするか、「引き渡した日」とするかの判断により、適用される税制が異なる可能性も考えられるため、注意が必要となります。

まとめ

「契約締結の日」と「引き渡した日」で年をまたぐ場合は、譲渡した日の判断により、確定申告期限が異なることとなります。
確定申告を行う際は、どちらを選ぶことがベストか考えたうえで、しっかり期限を守って確定申告を行いましょう!

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