【ビットコインにかかる税金②】仮想通貨取引を法人で行うとどうなるのか?

ビットコイン(仮想通貨)取引は法人で行った方が得?

近年、ビットコイン(仮想通貨)の取引が増えていることは前回も書きましたが、ほとんどの場合、個人で取引を行っているかと思います。
個人での税金の取り扱いについては、

~【ビットコインにかかる税金①】個人で取引を行った場合~

を参照ください。

個人で売却を行った結果、売却益に対して、給与所得や事業所得と合算されて所得税が課税されるため、かなりの税金を支払う可能性があります。
そこで、ビットコイン(仮想通貨)の取引を法人で行うことを検討したいと思います。
今回は、法人でビットコイン(仮想通貨)取引を行う場合にはどのような税金がかかるのかについてお伝えします。

法人の仮想通貨取引にはどのような税金がかかるのか?

法人で仮想通貨取引を行った場合は、法人税・住民税・住民税が課税されます。
法人でどのような税金が課税されるかのパターンは、基本的には個人の場合と同じと考えられます。
まずは、税金が課税されるパターンをご紹介します。

含み益のあるビットコイン(仮想通貨)を売却した場合

保有する仮想通貨を売却(日本円に換金)した場合に、その売却益に対して税金がかかります。
 【税金の対象となる金額】= 売却価額-仮想通貨の取得価額

含み益のあるビットコイン(仮想通貨)を使って商品を購入した場合

保有する仮想通貨を商品購入の際の決済に使用した場合には、その購入時点での商品価額を仮想通貨の取得価額との差額に税金がかかります。
 【税金の対象となる金額】= 商品価額―使用した仮想通貨の取得価額

含み益のあるビットコイン(仮想通貨)を他の仮想通貨と交換した場合

保有する仮想通貨を他の仮想通貨を購入する際の決済に使用した場合、言い換えれば他の仮想通貨に交換した場合には、その交換時点での、交換する仮想通貨の価額と保有する仮想通貨の取得価額との差額に税金がかかります。
 【税金の対象となる金額】= 交換する仮想通貨の価額―使用した仮想通貨の取得価額

ビットコイン(仮想通貨)をマイニングにより取得した場合

仮想通貨をマイニングにより取得した場合には、その取得した仮想通貨の取得時点での時価からマイニングに要した電気代などの費用を差し引いた金額に税金がかかります。
 【税金の対象となる金額】= 取得した仮想通貨の取得時の時価―マイニングに要した費用

法人における税金の計算期間

個人の場合の税金の計算期間は、1月1日~12月31日の1年間と決まっています。
それに対して、法人における税金の計算期間は、会社設立時に決めた事業年度ごとに行うことになります。
決算期を3月に設定した法人は、4月1日~3月31日が事業年度となり、その事業年度における利益・赤字金額を計算して申告・納税を行います。
決算期を12月に設定すれば1月1日~12月31日が事業年度・決算期を7月に設定すれば8月1日~9月30日が事業年度となります。

期末時価評価は必要なし?

法人で仮想通貨取引を行う場合においてが必要となるのが、売却しておらず、保有している仮想通貨についても、決算期において含み益があれば収益、含み損があれば損失となる可能性です。
例えば、12月決算法人が、
・2017年11月27日:ビットコインを100万円で購入
・2017年12月31日:ビットコインは保有したまま(市場価格170万円)
この場合、法人において、12月の決算時点で、含み益70万円を収益として計上し、法人税が課税せれる可能性があるということです。
言い換えると、実現していない利益にも税金がかかってしまう可能性があるということです。
逆に、決算時点で含み損がある場合は、法人で損失を計上することとなります。

この取り扱いについては、これまで明確にされていなかったのですが、税務通信NO.3495(2018年2月19日発刊)において、期末時価評価の必要はない旨が紹介されています。

法人でビットコイン(仮想通貨)取引を行うメリット

節税対策が豊富

節税対策の種類は、個人よりも法人の方が豊富です。
法人の仮想通貨取引で出た利益にかかる税金を減らすための選択肢を広げるためには、法人で取引を行うことがおすすめです。
法人の節税対策の詳細については、次回以降でお伝えします。

損失が出ても繰越欠損金が利用できる

法人で仮想通貨取引を行い損失が出た場合は、その損失を9年間繰り越すことができます。
今期に出た損失を来期以降9年間の黒字と相殺することが可能です。

例えば、
「2017年:ビットコインで40万円の損失」
「2018年:イーサリアムで100万円の利益」
という場合には、
【2018年の税金の対象となる金額】= 100万円(利益) - 40万円(繰越損失) = 60万円
が税金の対象となります。

個人で雑所得の場合は、損失の繰り越しはできません。
個人で事業所得の場合は、繰り越し期間は3年間です。

仮想通貨取引は値動きが激しいため、大きく損失が出る可能性も十分に考えられます。
価額が安定していない仮想通貨だからこそ、損失の繰り越しが9年間できる法人での取引は大きなメリットになります。

繰戻還付請求で払った税金が戻ってくる

法人の場合、利益が出る決算を行った後、次回以降の決算で損失が出た場合には、利益が出る決算で支払った法人税を、還付してもらう(戻してもらう)制度があります。

例えば、
「2017年:ビットコインで100万円の利益」
「2018年:イーサリアムで100万円の損失」
という場合には、
 ① 2017年:100万円に対する法人税を支払います
 ② 2018年:100万円の損失があるため、2017年に支払った100万円の利益
        に対する税金の還付を受けることが可能

個人で取引を行った場合には、このような還付制度はありません。

この還付請求制度は、値動きが激しい仮想通貨の取引を行ううえでの大きなメリットになります。
※還付請求が可能なのは、法人税・地方法人税のみであり、法人住民税・法人事業税の還付請求は
 できません。

まとめ

ビットコイン(仮想通貨)を法人で持つことのメリットをご理解いただけましたでしょうか?
場合によりますが、個人よりも法人で取引を行った方が、税制面のメリットが大きくなる可能性も考えられます。
今後も長期的に継続して仮想通貨取引を行う方は、法人による取引を検討してみてはいかがでしょうか。

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