ふるさと納税の返礼品を貰ったら税金がかかるってホント?

ふるさと納税の返礼品は一時所得となる

概要

ふるさと納税制度が始まってからほぼ10年が経過します。
このふるさと納税制度については、ほとんどの人がご存知だと思いますが、
「返礼品を貰った場合に税金がかかるかどうか?」
まで考える人はほとんどいないのではないでしょうか。
今回は、この件について掘り下げていきたいと思います。

「ふるさと納税(寄附)」を支出した者が地方公共団体から返礼品を受けた場合の課税関係

結論からいうと、地方自治体に寄付をしたお礼として受け取る返礼品は、所得税法上の「一時所得」に
該当することになり、所得税の課税対象となります。
この課税対象とされる点について、国税庁のHP記載内容を引用しますと、

寄付者が特産品を受けた場合の経済的利益は、一時所得に該当します。
 所得税法上、各種所得の金額の計算上収入すべき金額には、金銭以外の物又は権利その他経済的利益の
 価額も含まれます(所得税法第36条第1項)。
 ふるさと寄附金の謝礼として受ける特産品に係る経済的利益については、所得税法第9条《非課税所得》
 に規定する非課税所得のいずれにも該当せず、また、地方公共団体は法人とされていますので、
  (地方自治法第2条第1項)、法人からの贈与により取得するものと考えられます。
 したがって、特産品に係る経済的利益は一時所得に該当します。
  (所得税法第34条、所得税基本通達34-1(5))。

という感じでかなり難しく記載されています。
簡単にいうと
個人が地方公共団体から受けた返礼品(経済的利益)は所得税法上一時所得として課税します!という
ことです。

一時所得とは?

一時所得とは、臨時的、偶発的な収入で対価性のないようなものが該当します。
具体的に、次のようなものが一時所得とされます。

・懸賞や福引き、クイズ番組などの賞金・賞品
・競馬・競輪等の公営競技の払戻金
・生命保険の満期等一時金・損害保険の満期等一時金
・法人から贈与された金品
・遺失物拾得者や埋蔵物発見者が受る報労金
・賃貸住宅の大家や地主などから受取る立退き料

一時所得の計算方法

一時所得の計算方法は次の算式で計算されます。
(収入金額-その収入を得るために支出した金額)-特別控除額(上限50万円)=一時所得の金額
※実際に課税対象となる金額は、上記「一時所得の金額」に1/2を乗じた金額となる

例)生命保険契約の満期一時金500万円を受け取った。
  尚、この保険契約における既払保険料は420万円であった。

  総収入金額 500万円
  その収入を得るために支出した金額 420万円
  計算式
   (500万円-420万円)-50万円=30万円(一時所得)
   30万円×1/2=15万円(他の所得と合算して課税される金額)

ふるさと納税の返戻金の申告が必要な場合と必要ない場合

上記のとおり、ふるさと納税の返戻金を受け取った場合には、一時所得として所得税の課税対象となる
ことは、わかりました。
しかし、皆さんの周りでこの返礼品について、確定申告しているという話はあまり聞かないと思います。
それは、上記「一時所得の計算方法」中にある、「特別控除(50万円)があるため、ほとんどの人が
申告する必要がないためです。

どのような場合に確定申告が必要なのか、次に考えてみます。

ふるさと納税の返礼品の場合の一時所得の計算

まずは、ふるさと納税に係る一時所得の計算をします。

  ①収入金額=1年簡に受取った返礼品の時価
  ②その収入を得るために支出した金額=0円
  ①-②=【一時所得】
    ※寄付金はあくまでも寄付金なので、収入を得るために支出した金額には該当しません。

申告が不要な場合

【A】ふるさと納税の返礼品以外に一時所得が無い場合
  上記ふるさと納税返礼品に係る【一時所得】の金額が50万円以下の場合には申告の
  必要はありません。
  ※返礼品の経済的利益が総務省の推奨どおりの返礼率(3割)だとすると
   50万円÷30%=166万円までは申告の必要はないことになります。

【B】ふるさと納税の返礼品以外に一時所得がある場合
  上記ふるさと納税返礼品に係る【一時所得】の金額とそれ以外の【一時所得】の合計額が
  50万円以下の場合には申告の必要はありません。

申告が必要な場合

【A】ふるさと納税の返礼品以外に一時所得が無い場合
  上記ふるさと納税返礼品に係る【一時所得】の金額が50万円超の場合には申告の
  必要がある可能性があります。

【B】ふるさと納税の返礼品以外に一時所得がある場合
  上記ふるさと納税返礼品に係る【一時所得】の金額とそれ以外の【一時所得】の合計額が
  50万円超の場合には申告の必要がある可能性があります。

まとめ

上記のとおり、ふるさと納税をして返礼品に税金がかかるケースはそんなに多くはないと思いますが、
多額のふるさと納税をした高額所得者の方や、生命保険金等の一時金がある方は確定申告の必要がある
場合もありますので、注意が必要です。

追伸

返礼品の経済的利益をどうやって把握するのか?
疑問があったので、税務署に確認してみたところ、各公共団体に返礼品の価格を確認してください
との回答でした・・・
寄付先が200件ある場合には大変な作業になりますね
困ったときは、税理士にご相談ください

【無料相談受付中】目黒・渋谷の若手税理士 岩崎・長野会計事務所