【ビットコインにかかる税金①】個人で取引を行った場合
ビットコイン(仮想通貨)にかかる税金① 個人で取引を行った場合
近年、ビットコインを中心として様々な仮想通貨の取引が増えています。
特に昨年2017年からは、仮想通貨の価額が大きく高騰したことや、テレビCMの影響もあり、仮想通貨の取引を始めた方がかなり増えてきました。
それに伴って、これまで明確にされていなかった「仮想通貨にかかる税金」についても国税庁から見解は発表されました。
現在発表されているビットコイン(仮想通貨)の取引にかかる税金についてお伝えします。
個人のビットコイン(仮想通貨)取引で税金がかかるパターン
個人で仮想通貨取引を行った場合は、所得税・住民税が課税されます。
当然ながら、仮想通貨の取引所から仮想通貨を購入しただけで、税金がかかるわけではありません。
どのような時に税金がかかるのかをパターン別にご紹介します。
今回ご紹介するのは、個人で取引を行った場合の税金であり、法人で取引を行った場合の税金は異なります。
含み益のあるビットコイン(仮想通貨)を売却した場合
保有する仮想通貨を売却(日本円に換金)した場合に、その売却益に対して税金がかかります。
【税金の対象となる金額】= 売却価額 ― 仮想通貨の取得価額
含み益のあるビットコイン(仮想通貨)を使って商品を購入した場合
保有する仮想通貨を商品購入の際の決済に使用した場合には、その購入時点での商品価額を仮想通貨の取得価額との差額に税金がかかります。
【税金の対象となる金額】= 商品価額 ― 使用した仮想通貨の取得価額
含み益のあるビットコイン(仮想通貨)を他の仮想通貨と交換した場合
保有する仮想通貨を他の仮想通貨を購入する際の決済に使用した場合、言い換えれば他の仮想通貨に交換した場合には、その交換時点での、交換する仮想通貨の価額と保有する仮想通貨の取得価額との差額に税金がかかります。
【税金の対象となる金額】= 交換する仮想通貨の価額 ― 使用した仮想通貨の取得価額
ビットコイン(仮想通貨)をマイニングにより取得した場合
仮想通貨をマイニングにより取得した場合には、その取得した仮想通貨の取得時点での時価からマイニングに要した電気代などの費用を差し引いた金額に税金がかかります。
【税金の対象となる金額】= 取得した仮想通貨の取得時の時価 ― マイニングに要した費用
ビットコイン(仮想通貨)の所得区分
仮想通貨取引は雑所得として課税
仮想通貨取引によって利益が出た場合は、「雑所得」として課税されることとなります。
雑所得は、給与など他の所得と合算され、その合算した総所得金額に対して所得税・住民税がかかります。
所得税は、総所得金額が高くなれば高くなるほど、税率も高くなり、最高45%の税率となります。
仮想通貨取引で高額な利益が出た方は、税金も相当高額になると考えられます。
仮想通貨取引が事業所得となることも?
仮想通貨取引を「雑所得」ではなく「事業所得」として取り扱うことも可能です。
事業所得となるのは以下のような場合が考えられます。
・仮想通貨取引によって生計を立てていることが客観的に明らかである場合
・個人事業主が事業用資産として仮想通貨を保有し、決済手段として使用している場合
実態として「事業所得」であることが必要であるため、事業所得に該当するか雑所得に該当するかの判断は、かなり慎重に考える必要があると思われます。
「事業所得は税金が得だから」と安易に判断しないようにご注意ください。
ビットコイン(仮想通貨)で出た損失の取り扱い~雑所得の場合~
仮想通貨取引の損失は他の所得と通算できない
仮想通貨取引で損失が出た場合、給与所得などの他の所得との損益通算(利益と損失を相殺すること)はできません。
仮想通貨取引による利益は、給与所得などの他の所得と合算されて課税されるのに対して、損失は相殺できないという納税者にとっては不利なルールになっています。
仮想通貨取引の損失は、仮想通貨取引の利益とは相殺できる
仮想通貨取引の損失は、その年の仮想通貨取引の利益との相殺は可能です。
例えば、
2018年に「ビットコインで40万円の損失」「イーサリアムで100万円の利益」
という場合には、
【税金の対象となる金額】= 100万円(利益) - 40万円(損失) = 60万円
が雑所得として税金の対象となります。
仮想通貨取引の損失の翌年への繰越しはできない
同じ年に発生した仮想通貨の利益と損失の通算は可能ですが、仮想通貨の損失は、翌年以降への繰越しはできません。
例えば、2017年に生じた仮想通貨の損失を使って、2018年に生じた仮想通貨の利益を相殺することはできません。
ビットコイン(仮想通貨)で出た損失の取り扱い~事業所得の場合~
事業所得の場合は、仮想通貨取引の損失は他の所得との通算が可能
仮想通貨取引が事業所得である場合には、仮想通貨取引で出た損失を他の所得と通算することは可能です。
事業所得の場合は、仮想通貨取引の損失の翌年への繰越しも可能
仮想通貨取引が事業所得である場合には、仮想通貨取引で出た損失を翌年以降3年間繰り越すことが可能です。
例えば、
「2017年:ビットコインで40万円の損失」
「2018年:イーサリアムで100万円の利益」
という場合には、
【2019年の税金の対象となる金額】= 100万円(利益) - 40万円(繰越損失) = 60万円
が税金の対象となります。
まとめ
個人で仮想通貨取引を行った場合、給与など他の所得と合算して所得税が課税されるため、税率が高くなり、かなり高い税金を支払う可能性があります。
仮想通貨取引の利確の際には、それにかかる税金もしっかり把握しておくようにご注意ください。
また、個人の仮想通貨取引で損失が出た場合には、相殺や繰越しに制限があります。
この様に個人で取引を行った場合の税金を考えると、法人による仮想通貨取引も可能性として考えても良いのでしょうか。
次回は、仮想通貨取引を法人で行った場合の税金について解説します。