起業時の資金調達 「創業融資制度」について解説
いざ起業しようと考えた時に、まず起業家が直面する問題が資金調達です。
会社が資金調達をする場合の一般的な方法として、金融機関からの融資があります。
ただ、設立したばかりで実績のない会社が、銀行からお金を借りることが簡単ではありません。
そんなまだ実績の会社が融資を受けたい時には、創業融資制度を利用することがおすすめです。
また、今回ご紹介する制度は、2018年9月25日時点のものです。
どの融資制度を利用するか?
創業融資を受けたい場合、一般的には以下のどちらかの制度を利用することになります。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫という金融機関から融資を受けることができます。
地方自治体の融資あっせん制度
信用保証協会という機関の保証を受けて、銀行から融資を受けるものになります。
この融資をそれぞれの自治体を通して申し込むことで、金利の負担などで自治体の支援を受けることができるという仕組みになっています。
日本政策金融公庫の創業融資制度
創業時に日本政策金融公庫から融資を受ける場合に利用できる制度をご紹介します。
中小企業経営力強化資金
融資限度額:2,000万円
利率:年2.11%
自己資金要件:なし
その他要件:認定経営革新等支援機関の支援を受けていること
新創業融資
融資限度額:1,000万円
利率:年2.26%
自己資金要件:融資希望額の10の1以上の自己資金
若者・女性・シニアは利率が下がる
新創業融資の利率は年2.26%となっていますが、融資を受ける方が、若者(35歳未満)・女性・シニア(55歳以上)の場合は、利率1.86%に下がります。
区の融資あっせん制度
区の融資あっせん制度は、区によって条件が異なります。
例として、目黒区と渋谷区の創業融資制度の概要をあげますが、目黒区と渋谷区でも信用保証料の負担などで大きく条件が異なります。
目黒区の創業融資
【中小企業創業支援資金融資】
融資限度額:1,000万円
利率:年1.8%(利用者負担:0.3%、区負担:1.4%)
信用保証料:全額を区が負担(利用者負担なし)
自己資金要件:融資額と同額の自己資金
渋谷区の創業融資
【創業支援資金】
融資限度額:1,500万円
利率:年1.7%(利用者負担:0.4%、区負担:1.3%)
信用保証料:一定の業種に該当する場合のみ全額を区が負担
自己資金要件:融資額と同額の自己資金
信用保証料の負担は要チェック
区の創業融資の魅力は金利の低さにあります。
区によっては、利用者負担が1%以下という低金利で融資を受けることが可能です。
しかしそこでもう1つチェックが必要なのが、信用保証料の負担についてです。
信用保証料とは、保証協会に支払う保証料です。
この保証料を利用者が負担するのかどうかで、実質的な負担額が大きく変わってきます。利率だけでなく、この信用保証料を補助してくれるか否かを、しっかり確認することが大切です。
融資を受けることができるのは、事業を行う場所
区のあっせん制度を利用しようとする場合は、実際に事業を行う場所がある区で申し込むことができます。
利用できる区は、住所地がある区ではありません。
事業所が目黒区で、自宅住所が世田谷区といった場合は、目黒区での申し込みとなります。
それぞれのメリット・デメリット
この2つの創業融資には、それぞれメリット・デメリットがあります。
私が考えるメリット・デメリットは以下の通りです。
創業融資を検討する際の参考にしてください!
日本政策金融公庫
<メリット>
①原則、面談は1回のみで、融資実行までにかかる時間が短い
②自己資金要件が「なし」や「融資額の1/10」など、自己資金が少ない方でも利用可能
<デメリット>
①区のあっせん融資と比べて、金利が高いことが多い
区のあっせん融資
<メリット>
①金利が低い
<デメリット>
①区との面談、保証協会との面談など、面談回数が多いため、融資実行まで時間がかかる
②自己資金要件が「融資額と同額」とされている場合が多く、一定金額の自己資金の用意が必要
まとめ
どの制度を利用するのが一番良いのかは、誰が、いつまでに、いくら借りたいのかによって異なります。
「利率を考えれば、区の融資が低いけど、信用保証料の負担を考慮するとどうか?」
「区の融資制度を利用したいが、自己資金要件は満たしているか?」
「できるだけ早く融資をうけるためには、どの制度がベストなのか?」
といった具合に、総合的に判断して、ベストな融資制度を利用できるようにしましょう!