法人設立後の社会保険加入

会社を作ったら強制加入!?社会保険ってどんな制度?

社会保険とは、日本の社会保障制度の一つで、国民の生活を保障するために設けられた公的な保証制度です。会社勤めの方は健康保険、自営業者などの方は国民健康保険に加入することになります。
ここでは、主に会社勤めの方の加入している社会保険(健康保険)と労働保険の届出について解説します。

社会保険と労働保険の概要

社会保険とは

社会保険とは、会社員が勤務先を通じて加入する「健康保険」、「厚生年金保険」、「介護保険」のことを指します。病気やケガでの出費に対して自己負担が軽減されたり、出産育児に対して一時金が支給されるなどの制度のことです。この社会保険は、全国健康保険協会や企業独自の組合管掌健康保険が運営し、保険料を会社と従業員で折半することとなります。家族(保険の加入者)も保険料を負担することなく、保険証が交付されます。

 また、次の年齢で保険料の徴収内容が変更となります。
40歳到達 介護険料の徴収開始
65歳到達 護保険料の徴収終了
70歳到達 厚生年金保険料の徴収終了
75歳到達 健康保険料の徴収終了(以後、後期高齢者医療制度となります)

労働保険とは

労働保険は「雇用保険」、「労災保険」のことを指します。仕事中や勤務中に事故・災害にあって怪我をしたり、病気になったり、体に障害が残ったり、死亡した場合などに保障を行う制度です。また、災害にあった被保険者の社会復帰や、被保険者の遺族への援助なども行います。この労働保険は、厚生労働省が運営し、保険料は雇用保険は従業員負担、労災保険は会社負担となります。

また、64歳到達時で雇用保険料の徴収は終了となります。

社会保険の届出

社会保険料は①加入時②退社時の届出に加え、③賞与支給時④標準報酬月額を決定するための届出が必要です。管轄の年金事務所へ提出します。

① 社員入社時 被保険者資格取得届(5日以内)
② 社員退社時 資格喪失届(5日以内)
③ 賞与支給時 賞与支払届(5日以内)
④ 標準報酬月額を決定するための届出
この届出をもとに、各人の社会保険料を決定します。
一般的には毎年7月に算定基礎届(定時改定)を提出しますが、報酬額に著しい変動があった場合には
月額変更届(随時改定)が必要です。

定時改定(毎年一回定期に改定)

毎年7月1日~10日 算定基礎届を提出

賃金は変動があるものなので、毎年一回見直しをします。
※4月~6月支給の賃金の平均額で標準報酬月額を決定し、この標準報酬月額はその年9月から翌年8月まで有効です。

随時決定(報酬額等に著しい変動があった場合)

変動月以降3ヶ月目給与が支払われた後 月額変更届を提出

給与改定等で大幅な変動(変更後3か月の平均報酬月額が等級表で2等級以上の変動)があった場合は、定時決定ではなく随時改定となり「月額変更届」を提出します。
※変動後4か月目から標準報酬月額が変更となります。

その他生年月日に報じて、以下の届出の提出が必要となります。
70歳到達 70歳以上被用者該当届提出・被保険者資格喪失届の提出
75歳到達 被保険者資格喪失届の提出

労働保険の届出

 労働保険料は①加入時②退社時の届出に加え、毎年の③労働保険申告書④雇用状態報告書(高齢者、障害者)の届出が必要です。管轄の公共職業安定所に提出します。

① 社員入社時 雇用保険資格取得手続き(翌月10日まで)
② 社員退職時 資格喪失手続(10日以内)
③ 労働保険申告書(毎年6月1日~7月10日)
④ 雇用状況報告書(高齢者、障害者)(毎年6月末まで)

まとめ

 年金事務所(厚生労働省)による法人の社会保険への未加入の取締りは年々厳しさを増しています。加入催促の通知を無視していると、過去に遡って社会保険料を請求されるケースも。とはいえ、社会保険料は支払い給与額によって、経営上大きな負担となる場合もあります。社会保険料の負担も含んだ経営計画を立てられることをお勧めします。

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