在宅勤務手当(テレワーク手当)は給与課税される?

在宅勤務・テレワークを実施するに当たり、企業は従業員に在宅勤務手当を支給したり、在宅勤務に必要な費用を企業が負担したりすることが考えられます。
在宅勤務手当を支給する際に問題となるのが、従業員に対する給与課税の対象となるか否かです。
今回は、在宅勤務手当を支給する際の給与課税の考え方について解説します。

給与課税の原則的な考え方

手当

役員や使用人に支給する手当は、原則として給与所得となります。
具体的には、残業手当や休日出勤手当なども給与所得となります。
しかし、例外として、次のような手当は非課税となります。
・通勤手当のうち、一定金額以下のもの
・転勤や出張などのための旅費のうち、通常必要と認められるもの
・宿直や日直の手当のうち、一定金額以下のもの

現物給与

現物給与とは、金銭以外の物または権利、その他の経済的利益で支給される給与のことです。
例としては、以下のようなものが挙げられます。
・家賃補助や社宅
・食事代の補助
・社員旅行の費用

基本的には、現物給与にも所得税が課税されますが、一部の現物給与は非課税とされていいます。非課税となる現物給与の要件は以下の通りです。
• 従業員の業務遂行上の必要から支給されるもの
• 換金性に欠けるもの
• その評価が困難なもの
• 受給者側に物品などの選択の余地がないもの

在宅勤務手当として金銭を支給する場合

在宅勤務にあたり、従業員に金銭を支給する場合、その従業員に対する課税は次のようになります。

実費相当額のみの金銭支給

【内容】
従業員が在宅勤務に必要な費用を使い、会社がその費用精算として実費相当額の金銭を従業員に支給
【課税の有無】
給与課税なし

実費分を含む一律の金銭を支給

給与課税あり(実費分を含んだ支給額の全額が課税)
【内容】
会社が、在宅勤務に要する費用に充てる意味合いで金銭を従業員に支給する
従業員は、その金銭の用途制限はなく、かつ、使わなかった分の返金もなし
【課税の有無】
給与課税あり

実費分とは別に一律の金銭を支給

【内容】
従業員が在宅勤務に必要な費用を使い、会社にその費用を金銭で精算してもらう。さらにその精算とは別に金銭の支給(在宅勤務手当)の支給を受ける
【課税の有無】
実費精算分:給与課税なし
在宅勤務手当:給与課税あり

在宅勤務用の物品を支給する場合

在宅勤務にあたり、従業員に対して在宅勤務で使用する業務に必要な物品(パソコン、WEBカメラ、机、マスクなど)を支給する場合、その従業員に対する課税は次のようになります。

貸与という形で従業員に配布

所有権が移転する形で従業員に配布

【内容】
配布した物品は従業員の所有物となり、従業員が自由に利用、処分可能
【課税の有無】
給与課税あり

マスク等を配布

【内容】
会社がマスク等の消耗品を従業員に配布する
【課税の有無】
給与課税なし

通信費・電話料金を精算する場合

従業員が負担した在宅勤務に要する通信費・電気料金を精算する場合は、会社は「業務のために使用した部分」を算出し、その金額を従業員に支給する場合に限り、給与課税なしとなります。
「業務ために使用した部分」の算出方法は次のようになります。

電話料金の通話料部分

通話明細等により業務のための通話に係る料金を確認することにより算出

電話料金の基本使用料

1ヵ月の基本使用料×(在宅勤務日数÷1ヵ月の日数)÷2

インターネット通信費

1ヵ月の通信費×(在宅勤務日数÷1ヵ月の日数)÷2

電気料金

1ヵ月の電気料金×(業務用の床面積÷自宅床面積)×(在宅勤務日数÷1ヵ月の日数)÷2

まとめ

このように、在宅勤務手当は一定のルールに従って支給する場合に限り、給与課税の対象外となります。
ルールに従った計算や経費精算はやや煩雑となるため、概算で手当を支給したいといった場合は、給与課税の対象となるため注意が必要です。
給与課税される在宅勤務手当を支給する場合は、会社は忘れずに源泉徴収を行うようにしましょう。

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