令和2年度税制改正による雑所得の確定申告の見直し

近年、働き方の多様化により給与所得以外にもさまざまな所得がある方が増えています。
給与所得だけですと年末調整で済む方が多いと思いますが、副業で収入を得た際は確定申告をしなければならない場合もあります。

今回は、令和2年度税制改正による雑所得の確定申告の見直しについて解説します。

目次

 

雑所得の計算方法

雑所得とは給与所得や事業所得、不動産所得等の他の9種類の所得のどれにも当てはまらない所得のことをいいます。
雑所得は大きく分けると2種類に分かれます。
「公的年金等の雑所得」と「公的年金以外の雑所得」です。
「公的年金以外の雑所得」でよく挙がる例は、作家業を営んでいない方が受け取る原稿料や講演料等です。
また、近年ではサラリーマンの方でもフリマアプリの収入や動画投稿での広告収入が増えてきています。
雑所得の計算は以下のように行います。

総収入金額-必要経費 又は 公的年金等控除額

令和2年度税制改正での雑所得について

令和2年度税制改正により雑所得についても見直しが行われました。

以下が令和2年度 所得税の改正あらましからの引用です。

① その年の前々年分の雑所得を生ずべき業務に係る収入金額が300万円以下である個人は、その年分の当該業務に係る雑所得の金額の計算上総収入金額及び必要経費に算入すべき金額を当該業務につきその年において収入した金額及び支出した費用の額とすることができる特例(いわゆる「現金主義による所得計算の特例」)の適用ができることとする。

② その年の前々年分の雑所得を生ずべき業務に係る収入金額が300万円を超える個人は、現金預金取引等関係書類を起算日から5年間、その者の住所地又は居所地に保存しなければならないこととする。

③ その年の前々年分の雑所得を生ずべき業務に係る収入金額が1,000万円を超える個人が確定申告書を提出する場合には、当該業務に係るその年中の総収入金額及び必要経費の内容を記載した書類を当該確定申告書に添付しなければならないこととする。

(注1)上記の「現金預金取引等関係書類」とは、その業務に係る取引に関して相手方から受け取った書類及び自己の作成した書類のうち、現金の収受若しくは払出し又は預貯金の預入若しくは引出しに際して作成されたものをいう。

(注2)上記の「起算日」とは、現金預金取引等関係書類の作成又は受領の日の属する年の翌年3月15日の翌日をいう。

(注3)上記の改正は、令和4年分以後の所得税について適用する。

簡単な言葉で説明すると以下のようになります。

① 前々年分の雑所得の収入金額が300万以下であれば、現金主義をとることができる
② 前々年分の雑所得の収入金額が300万円を超える場合は「現金預金取引等関係書類」を5年間保存しなければならない
③ 前々年分の雑所得の収入金額が1000万円を超える場合は、収入金額と必要経費の内容を記載した書類を、確定申告書と一緒に提出しなければならない。

①の現金主義をとる為には届出書を提出しなければなりません。現在どのような届出書がいつまでに提出必要かは決まっていませんが、もし現在もある「現金主義による所得計算の特例を受けることの届出書」を提出しなければならない場合は、適用を受けようとする年の3月15日までが期限となります。その為、令和2年度に300万以下の雑所得があり、現金主義を取りたい方は令和4年3月15日までに提出しなければなりません。

リンク:現金主義による所得計算の特例を受けるための手続

②の現金預金取引等関係書類とは「通帳や、現金出納帳、預金出納帳」等をさします。

③の前々年分の雑所得の収入金額が1000万円を超える場合は、確定申告書に総収入金額と必要経費を記載した書類を提出し、なおかつ現金預金取引等の関係書類を5年間保管しなければなりません。

注意点について

先ほどご説明した①~③の金額の判断はすべて「収入」を基準としています。
所得(総収入-必要経費)ではないので注意が必要です。
また、「雑所得を生ずべき業務の収入金額」は「公的年金等も含めた雑所得の収入金額」ではありません。副業などの業務により得た収入だけが対象となります。

まとめ

今回は令和4年度から適用される雑所得の改正についてまとめました。
基準となるのは令和2年分の収入額となる為、今から準備を進めておきましょう。

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