不動産を譲渡した場合の譲渡収益の計上時期は?

概要

個人や法人が土地や建物を譲渡した場合、税務申告の上で、その譲渡収益をいつのタイミングで認識・計上したらよいのか?という問題が発生します。
通常は、引き渡しのあった日(代金決算及び登記が完了した日)というのが、一般的だとは思いますが、不動産売買契約が今年(今期)で、引渡しが翌年(翌期)というような場合には、今年(今期)中に譲渡があったものとして、税務申告をすることは可能でしょうか?

個人の場合(所得税)

【所得税基本通達36-12】には次によう記載があります。
「譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、譲渡所得の基因となる資産の引渡しがあった日によるものとする。ただし、納税者の選択により、当該資産の譲渡に関する契約の効力発生の日により総収入金額に算入して申告があったときは、これを認める。」

上記について簡単にいいますと、原則は「引渡しがあった日」ですが、「譲渡に関する契約の効力発生の日」としても良いとういうことです。

資産の引渡しがあった日

資産の引渡しがあった日とは、所有権移転登記に必要な書類等を相手方に交付した日をいう。ただし、譲渡代金の決済をした日より後にはならない。
したがって、決済が完了した日より後に所有権移転登記に必要な書類等を相手方に交付したとしても、決済が完了した日が「引渡しがあった日」となります。

契約の効力発生の日

契約の効力発生の日とは、一般的には、不動産の売買契約日となります。
ただし、民法上契約が成立している必要があります。
例えば、契約書に手付金の支払条項があるのに、実際には手付金の収受が行われていない場合や売主による建物の取壊し条項がり、且つ取壊しが完了していない場合などは、売買契約書調印日=効力発生の日とはならない可能性があるので、注意が必要です。
契約の効力の発生の日の判定にあたっては、契約書の存在とその契約日だけを確認するのではなく、契約書の内容確認をするように注意してください。

法人の場合(法人税)

【法人税基本通達36-12】には次によう記載があります。
「固定資産の譲渡に係る収益の額は、別に定めるものを除き、その引渡しがあった日の属する事業年度の益金の額に算入する。ただし、その固定資産が土地、建物その他これらに類する資産である場合において、法人が当該固定資産の譲渡に関する契約の効力発生の日の属する事業年度の益金の額に算入しているときは、これを認める。
(注)本文の取扱いによる場合において、固定資産税の引渡しの日がいつであるかについては、法人税基本通達2-1-2の例による。」

上記について簡単にいいますと、法人税法においても、原則は「引渡しがあった日」ですが、所得税法と同様に「譲渡に関する契約の効力発生の日」としても良いということです。
なお、本則どおり引渡基準を適用する場合にその引渡しの日がいつか明らかでないときは、法人税基本通達2-1-2の取扱いを援用して、次に掲げる日のうちいずれか早い日にその引渡しがあったものとすることができることになります。

① 代金の相当部分(おおむね50%以上)を収受するに至った日
② 所有権移転登記の申請(その登記に必要な書類の相手方への交付を含む)をした日

まとめ

上記のとおり、土地や建物の譲渡収入の計上時期については、複数の選択適用が可能になりますので、売買契約の時期・売買契約の内容・決済の時期等についての検討について注意が必要になります。

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